会長は家にいる時、メガネ率が高い。


会長は左利きだけど、なぜかお箸は右利き。


会長は目玉焼きは半熟、醤油派。


朝から結構シッカリ食べる。


後は…────



「おい」


「はい?」


「何なんだこの間から。毎日毎日、人のことジロジロ観察しやがって」



ギクッ!


き、気付かれてた!!



「み、見てなんかないし!」


「嘘つけ。とにかく止めろ。せっかくの清々しい休日の朝に、ストーカーにでも遭ってる気分だ」


「誰がストーカーだっ!!」




滝本と出くわしたあの日から、私は何となく前よりも会長との時間を意識するようになった。


というか、今までただなんとなーく過ごしてきた会長との時間を、もうちょっと大事にしてもいいかなって、そう思ったんだ。


会長とこうして一緒にいられるのも、きっと後少し。


恐らく夏が終わる頃には、私はもうここにはいない。


会長とこうして一つ屋根の下で暮らしていたなんて、きっと嘘だったかのように日常に戻っていくんだろう。


これまで、一緒に住んでたって“口煩いこと言われるの嫌だから部屋にこもっとこ!”くらいにしか思ってなかったし、家で二人きりの時の会長を特別意識したことはなかったけど、


この生活の終わりが見えてきた途端、ちょっと名残惜しくなってる自分がいる。