ケータイ小説 野いちご

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初恋のうたを、キミにあげる。

伝える勇気




翌朝、教室の前の廊下で森井くんと鉢合わせた。

心臓がうるさいくらいに暴れ出して、手に汗がじわりと滲む。

緊張で足が竦みそうだ。


「おはよう」

たった一言の挨拶。それだけで私の気分は浮上していく。


「……お」

好きって気づいてしまったら、今までの自分を思い出せなくなってしまった。

どうやって森井くんと話していたのかわからない。


話しながら目が合わないのは不自然かな。

でも、目が合うと心臓がきゅうっと苦しくなって、体温が上がっていく。


「お?」

「おはよう、ございます……」

「うん」

もっと会話がしたいのに森井くんはそれだけ言って私の横を通り過ぎていく。


私も追うように教室へ入り、とぼとぼと自分の席へと座る。


森井くんの周りには人がいて、楽しげで、ちょっとだけ疎外感。

最近は木崎さんたちがよく話しかけてくれるから、ひとりでいることが当たり前じゃなくなってきたのかもしれない。



だけど、このまま人が来てくれるのを待ってばかりじゃダメだ。

自分を自分が変えてあげないと、きっと私は前に進めない。







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