小学生の頃に住んでいたマンションは、
沢山のマンションに囲まれて建っていた。

マンションとマンションの間には、
細い隙間があった。



ある日の夕方、遊びから帰って来たとき。


麦わら帽子を被った青いジャージのおじさんが
手足をバタバタさせながら、
マンションの隙間に入っていった。


見たことのない、おじさんだった。




あそこ、通れるんだ♪





私は駆け寄って隙間を覗くと、

そこには誰もいなかった。



隙間の先には、光が見える。

おじさん、進むの早いなぁ!どこかへの抜け道なのかな?



私は翌日、
同じマンションの友だちを誘って隙間に向かった。