ケータイ小説 野いちご

あの花のように…

第1章 夢

麻鈴…お母さんはねー

ん…。また同じ夢。なんでだろう?小さい頃の私とお母さんの夢ばかり見るなんて。お母さんはもう居ないのに…

「しっかりしなくちゃ。今日から高校生になるんだから!」

私は華山麻鈴(はなやま まりん)15歳。今日は高校の入学式でとてもワクワクしています!

でも…朝からお母さんの夢を見て少し気分が沈んでいます。お母さんは私が小さい頃に死んじゃったの。

何でかはお父さんが全然教えてくれないから、よく知らないけどその頃から毎朝同じ夢を見て目が覚めるようになって、いつも不思議な気持ちです。

はぁ。お母さんが私に見せているのかな…。

とにかく遅れちゃうから支度しなくちゃ。

私はいつものように長い髪の毛をゴムでポニーテイルにして、

憧れの水色のブラウス、

チェックのスカートとリボンの
高校の制服を来て少し短めにスカートをはいて、リボンを緩めて付けてみた。

「うん!決まってるかな?」

「まーちゃんー!ご飯だよー」

お父さんが1階から叫ぶ。

「わかってるよ!」

はぁ。その呼び方辞めてって言ってるのに。

私は少し早足で1階へ降りていった。

「おはよ。まーちゃん。ほら今日は入学式だからまーちゃんの好きな、玉子焼きを作ってみたよ?」

「もう!その呼び方辞めてってば!」

これがお父さん。背が高く、短髪で眼鏡をかけ、少しおっとりとした顔立ち。どこにでもいる普通のサラリーマンです。

周りの人は優しくて、いいお父さんって言うけど私は嫌い。お母さんの事をひと言も教えてくれないし、私をいつまでも小さな子みたいな扱いをするから。

「玉子焼きも焦げてるし…。」

「あはは。ごめんね?今日は上手く出来たつもりだったんだけどなー。」

そう言うとお父さんは苦笑いをして頭をかいた。

「…いただきます。」

はぁ。もう。朝から最悪の気分だよ…

「そうだ!まーちゃん。今日は何時から?入学式。」

「8時半に集合。」

「そうなんだ。友達出来るといいね。」

「…そうだね。ごちそうさま。」

「えっ!?もういいの?」

お父さんが不安そうな表情になる。

「うん。もういいや。じゃあ行ってくるね。」

「お腹空くよ?もう少し食べていけば?まだ時間あるし。」

「いらないってば!お父さんも仕事あるでしょ?早く支度しなよ!」

私はすごくイライラしてお父さんに怒鳴った。

「そ、そうだね…行ってらっしゃい。今日は午前中でしよ?お父さんも早く帰るけど、鍵はいつもの所だから。」

「…うん。じゃあ。」

はぁ。なんであんなにイライラするんだろう…。

ダメダメ!もう終わった事だし、切り替えなきゃ。

でもお父さんにお母さんの夢の事話せなかったな。

「まーりーん!」

「うわっ!」

いきなりなんか重いものが背中に飛びかかってきた。

「な、なんだー!紗菜かー!」

「なんだーってなに?その反応。あ!また何か考え事しながら歩いてたんでしょー?」

「ち、違うよ!」

この子は菊池紗菜(きくち さな)私の小さい頃からの幼馴染みで、いつも一緒にいる。

幼稚園から中学までずっと同じクラスで高校も同じ所に受かって家も私の家の前なこともあり、とても仲良しなんです!

紗菜の家は母子家庭でお母さんは病院で看護士として働いています!

性格はサバサバしてて髪の毛はいつもハーフアップにしていて可愛いリボンをつけてる。私の良き相談者でもあります。

「嘘だね。絶対に考え事してた。だってそういう時の麻鈴はいつも周りが見えてないから。」

紗菜は得意げに話す。

「そ、そうかな?」

「そうなの!で?何を考えてたの?」

「え、えっと。じ、実はね?」

私が朝の事を話すと紗菜は頷きながら静かに聞いててくれた。

「そっか。お父さんにまた当たっちゃったんだ。」

「うん。後お母さんの夢の事も話せなかった。」

「まだ…同じ夢を見るの?」

紗菜は心配そうに訪ねた。

「うん…しかもずっと同じ内容。私とお母さんが、花畑で一緒に座っててお母さんが小さい頃の私に何か話しかけてるの。お母さんの事、あまり覚えてないのに…」

「そっか…。でも麻鈴が、お母さんの事で覚えているのってその夢と同じでしょ?」

「うん。なんでかな…。なんでお母さんは死んじゃったのかな…お父さんは未だに教えてくれないし。」

はぁなんかもやもやするな。

「こーら!今日は楽しみにしてた入学式だよ?暗い顔しない!おじさんだっていつか話してくれるよ!だから大丈夫!」

「そう、だよね。」

「そうだよ!朝の事も帰ってからきちんと謝れば分かってくれるよ。」

「うん!話してみる。ありがとう紗菜。」

「よし!ほら行こ!」

「うん!」

やっぱり紗菜に話して良かったな。いつも元気になれるよ。よし!今は入学式の事だけ考えよ!

そして紗菜と何でもない話をしながら学校へ向かいました。

「ついた!やっぱり綺麗な学校だね!」

私は思わず学校を見上げました。

「そうだね!あれ?あそこの正門でスマホいじってるの弘樹じゃない?」

弘樹というのは私の幼馴染みの2人目の男の子で、桜川弘樹(さくらがわ ひろき)の事。家は近かったけど登校するのは別々だった。

中学の頃はクラスが1度も一緒になれなくて、部活の関係もあり中々会えなかったけど高校も一緒だと分かったので紗菜と2人で喜びました。

「えー、違うよ。あんなに髪の毛はほぼ坊主だったし、身長ももう少し低かったよ?」

紗菜が指さしたのはすらっと高い身長にサラサラな短髪をしたちょっとカッコイイ男の子でした。

「そうかなぁ。とにかく近くに行ってみよ!」

そう言うと紗菜は走っていってしまった。

「ちょっ、ちょっと待ってよー!」

そんな様子に気がついた男の子がスマホから顔を離した。

「ん?おお!紗菜、麻鈴!久しぶりだな!」

えっ!?本当に弘樹だったのかな?

「ほ、本当に弘樹?」

「はぁ?幼馴染みの顔を忘れたのか?まぁ中学の時は俺がサッカー三昧でろくに会えなかったからな。仕方ねぇか。」

「だから言ったじゃん!」

紗菜が嬉しそうに言った。

「でも本当に久しぶりだな!」

「そうだね!アンタはほっといたらサッカーに夢中で高校に受かった時にやっと連絡してきたんだもんね?って言うかこんな所でなにしてんの?」

そう言って紗菜か不思議そうにたずねた。

「ああ。お前らが来るかもって待ってたんだよ。まぁ先に着いてるかもしれないけど、元々ギリまでまってるつもりだったからよ。」

そうだったんだ。はぁ全然分かんなかった。中学の時とは全然違うんだもん。

「いやあ今年こそはお前らと同じクラスになりてーな。そうじゃないと誰かさんに忘れられるみてーだし。」

「ご、ごめん!でも変わりすぎてて分からないよ。紗菜はよく分かったね。」

「まぁね!雰囲気でなんとなく?」

「す、すごい。」

すると紗菜が私達の間に入って腕を組む。

「まぁこうして再会できたし!良かったじゃん!ほらそろそろ行こ!クラスも気になるし。」

紗菜嬉しそうに笑うと弘樹が照れ臭そうに離れる。

「くっつくなよ。」

「ふふ。そうだね!早く行こ!」

それから私達3人は正門をくぐりそれぞれクラスを確認する為、昇降口に向かい教室に入りました。


「良かったー!3人とも同じクラスで!」

紗菜がジャンプしながら言う。

「紗菜はしゃぎすぎ!でも、席は見事に離れたね。」

「仕方ねえよ。苗字順なんだし。」

そう、私達はクラスは一緒でも紗菜が窓側から二列目の1番後ろ、弘樹がその右隣の列の前から2番目、私が廊下側から二列目の1番前と席はバラバラになってしまったんです。

「はぁー。2人とも遠くてつまんないな。」

紗菜あからさまに残念そうな顔をする。

「まぁまぁ。お昼とかは一緒に、食べれるからいいじゃん。」

私が説得するように言うと紗菜わざとらしくほっぺを膨らませる。

「麻鈴はこういう時だけポジティブなんだから。」

そんな事を話していると、先生が来て体育館に移動し入学式がスタートした。それから、教室に戻り先生からの次の日のお知らせを聞いて下校となった。

「あー。相変わらず校長の話なげー。」

くたびれた様子の弘樹。

「あんたは最初から寝てたじゃん!」

紗菜の鋭いツッコミが炸裂した。

「あはは!でも3人で帰るの久しぶりで懐かしいね。」

そう言えば小学校の時は3人で帰ってたからすごい楽しかったっけ。

「小学校以来だな。そうだお前ら連絡先交換しとこうぜ?」

弘樹が思い出した様にスマホを出す

「仕方ないわねー。」

「いいよ!」

順番に連絡先を交換した。

「よし!サンキューな!じゃあ俺はここで!」

「あれ?どこ行くの?」

私が不思議そうに聞くと

「ああ。腹減ったから昼飯買ってくからよ。じゃあな!」

「相変わらずコンビニ弁当食べるんだ!アイツ。」

紗菜がため息混じりに言う。

「そうみたいだね。お母さんとお父さんが共働きだからしょうがないよ。」

はぁ私はお父さんが作った玉子焼きの残りなのにな。

しばらくして私と紗菜も家に着く。

「麻鈴…。大丈夫?昔から自分1人だけの家に帰るの嫌ってたでしょ?うちに来る?」

「ううん!平気心配してくれてありがとう。」

「そっかなら良かった。じゃあね麻鈴!ちゃんと家に入ったらドアの鍵閉めなよ?」

「分かってるー。じゃあね!」

全く閉め忘れないってば!

はぁー疲れた。知ってる子が同じクラスで良かったよ。

ピロン!

ん?お父さんからだ。

ー もう学校終わった頃かな?お昼はキッチンのテーブルに置いてあるからちゃんとたべてね?後お母さんの仏壇のお水変えておいてねー! ー

「もう!朝変えればいいのに!」

ブツブツ文句を言いながら水を変えに行くと、仏壇のお母さんの写真が気になりました。

「お母さん…こんな顔だったけ?」

しばらく仏壇の前でお母さんの写真を眺めていると段々寂しさが込み上げてきた。

「ねぇ…?お母さん。なんで私の夢に出てくるの?置いていったくせに!なんで…。死んじゃったの…?」

いくら考えても分からない問いかけを写真のお母さんに向かって聞きました。でも当たり前のようにお母さんはただ笑っていました。何も答えてはくれず、夜になってお父さんに聞いても、言葉を濁すばかりで教えてはくれませんでした。

お母さん…私、お母さんの事なにも分からないよ。どうすればいいの?教えてよ…。

ー夢endー

























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