意外と引っ張る腕の力、強かったな。


さっき掴まれた腕の部分にそっと自分の手を重ねる。
手も、ちゃんと男の子だったし。
白くて綺麗だったけど、角ばってて……。


ほんとさっきのなんだったんだろう。


病院からの帰り道、さっき起きた出来事を思い返しながら。
私は一人うねり声をあげていた。


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「こ、恋人?
 さっき私泣いてたの見ましたよね?
 失恋したばっかりですよ?
 しかもさっき。」



「はい、見てました。」



「じゃあなんで!」



「順を追って説明をしますね。」



そう言って微笑んだ風見さんは。
乱れた服を直したあと、口を開いた。



「僕は心臓病を患っていて、余命1ヶ月なんです。」



それを聞いた時、一瞬気が遠のくのを感じた。
余命……1ヵ月?



「僕は生まれてからずっと病室で過ごしていて。
 学校というものをよく知りません。
 この身体じゃ行けそうにないので。
 ……でもひとつ。
 知りたい事があるんです。」



そう言った風見さんは私の手をぎゅっと握った。