「ごめん、詩羽のことそういう目で見たことない。」



中学生の時から片想いをしていた理央先輩。
頑張って受験勉強して、同じ高校に受かって。
いざ、恋人にって思った春。
私は振られた。


中学の時同じ部活で。
優しく指導してくれた理央先輩。
その優しさが私だけに向けられたものじゃないと分かりながらも。
恋せずにはいられなかった。


先輩は私の学年にも人気で。
かっこよくて優しくて、少し儚げで。
消えて無くなりそうなアンニュイさが女子のハートを射止めていた。


でも私はそんな見てくれだけで好きになったんじゃない。
どんな時でも前を向いていて。
落ち込んでいる人がいたら励ますことのできる。
その人間性を好きになったんだもん。



『詩羽は可愛いなあ。』



そう言って微笑んでくれて。
……期待してしまって。
あわよくば彼女になんて、思って。
撃沈した。


振られた。失恋、バイバイ4年の恋。
あーあ、初恋だったのに。
好きだったのになあ……。



今日ってお母さん遅番だっけ。
そう思ってお母さんの当番割を確認すると。
やっぱり今の時間仕事だ。


失恋した日に一人で家にいるのは辛くて。
この気持ちを聞いてほしくて。
私はお母さんの働く大学病院へと足を運んだ。