_桜ヶ丘総合病院。


そこは普通の病院ではなく、終末期の患者が多く集まり、死の準備をはじめる期間を過ごす場所として知られている。



そこにいる彼女もきっとそうなのだろう。



胸がキリッと痛む。


なんで、僕はこんなに遅いんだろう。


『羽山奏』と書かれた病室へと入る。


そこに彼女は眠っていた。


「すやすやと、人の気も知らないで、」


そっと彼女の髪を撫でる。