「最後だから、僕がご馳走します。」

そう言って彼女を誘ったのは、僕だった。




もうすぐ、かったるかったダサいブレザーにえんじ色のネクタイから、僕は開放される。
彼女のおかげで、僕は無事に大学生になる権利を得た。
日頃の感謝を込めて、僕は彼女をご飯に誘うことにした。




リクエストを聞くと、彼女は「焼肉。」と即答。
…こういうとこ、ずっと変わってないなあ。
言葉に出すと彼女がふてくされるから、僕は心の中でだけそう呟いて笑った。



そうして僕たちは、最後の今日、焼肉を食べに焼肉屋さんにやってきた。