「…ゆな、また電車乗り間違えたって?」

私、蜜橋 結奈(ミツハシ ユナ)。普通の女子大生。そして私の目の前で少し呆れている爽やかそうな男は吉次 諒(ヨシツグ リョウ)。

いつも私が失敗するとすぐに注意してくるような一枚上手の彼氏。一個年上だから世話焼きになるのも仕方ないのかも…?

「ま、またって言わなくてもいいでしょ…別にそんなにいつもじゃないもん」

「そんなこと言っていつもやってるの知ってるけど?…あ。ゆな。ちょっと」

グイッ

「へ?」

「今の絶対先輩達」

…実は私達が付き合っているのは秘密にしてる。だから同じ大学の先輩達がいたから隠れたみたい。

「…もう行った?」

「ん」

「一人でもバレたらすぐに広まっちゃうもんね」

「そうだな…あんまりバレることないと思うけど」

「諒は爽やか系のチャラ男だからバレないよ」

「なんでそー思うわけ?」

「女の子といつも近い距離なの。特定の彼女いなさそうな感じ〜あたし見てるもん」

「嫉妬?だったら可愛いから良いけど」

「うわ〜腹立つ〜〜!そういうとこがチャラいって言われるんだよ」

「ゆなは天然すぎてたまに何言ってんのか分からない時あるけどね」

「そんなことない」

「この間だってマスク二重にして大学行っただろ?普通そんな女子大生いないって」

「そっ、それはっ、間違えて、…っ寝ぼけてたの!!」

「皆もこの話で笑ってたよ、ゆならしいなって」

「……………」

諒は顔もカッコよくて、甘い顔、甘い声の持ち主。任された仕事なんかはサラッと出来ちゃうし、女の子にもモテる。行動はチャラいけど爽やかな見た目だからみんなカッコよくて優しいお兄さん♡とか思ってるよね絶対!

む〜〜…

「ゆな?」

「諒、無駄にイケメンだからヤダ」

「え?」

「イケメンだから女の子にいっぱい好かれちゃうしチャラいし本当にヤダ」

「…あー付き合ってるのバラしてないから心配なの?」

ニヤリ

「っそ、そんなことない!!」




…今日も、彼の方が一枚上手みたいです。