《瀬那side》

俺と佑麻、二人の部屋に佑麻が帰って来なくなって、もう2週間が経った。


『しばらく、実家に帰るね』

つーか、しばらくって……どんくらいだよ。
長いのか、短いのか、さっぱりわかんねぇ。


隣にいないなんて考えられないくらい同じ時を過ごしてきた佑麻が、

いつもバカみたいに明るく、

遅く帰った俺を笑顔で待っててくれた佑麻が

『私は、疲れた時に瀬那に甘えたいって思う。

瀬那にギュッてして欲しいって……これは、ワガママかな?

私だってたまには"頑張ったね"って、たった一言褒めて欲しい時があるよ』


───俺の隣から居なくなった。

いつも何だかんだ喧嘩の度に仲直りしてこれたのも、考えてみれば佑麻がいつも先回りして『ごめんね』を伝えてくれていたからのような気がする。


『別にもう怒ってねーよ』なんて言いながら、本当は俺が謝らなきゃいけないことだって、沢山あったはずなのに。

佑麻はそんな俺に満面の笑みで微笑んで「大好き」って言うんだ。


「あーっ、たく。何してんだ俺」


高校の時も、こんなことあったっけ。
急に佑麻に別れを告げられて……、あの時も俺は追いかけることすら出来なかった。

なんだよ俺、全然成長してねぇじゃん。