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季節が巡るのは早いもので、寝苦しいほど風のない、蒸し暑い夜が続く今日この頃。
気づけばリビングのカレンダーは9月のページがこんにちはしている。




「……はぁ」



今日、何度目か分からないため息を零してはリビングの掛け時計に視線を向け、チクタク進む秒針に心底寂しさが募る。


きっと、同棲を始めたばかりの頃は、こんな日が来るなんて想像もしてなかった。


ううん、これくらいのこと……全然平気だって、絶対大丈夫だって思ってたのに。
今の私は、とてもじゃないけど"これくらいのこと"とは思えなくなってる。


もう22時半を過ぎたと言うのに一向に帰ってくる気配のない瀬那にスマホを確認するも虚しく、もちろん連絡のひとつない。



7月に行われた瀬那の教員採用試験の一次試験は、見事合格で、さすが瀬那!!一発合格なんてデキる男すぎる!!!って浮かれていたのがつい最近。


そして8月に行われた二次試験の面接を終えて…ついに、10月の合格発表を待つのみ!の今。



「…………はぁ〜」



さっきよりも深いため息をこぼしてソファに身を投げ出した私は今、瀬那不足でどうにかなりそうだ。