──バキッ!!




「ぐぁっ...!!」




薄暗く、じめじめした路地裏。



一人の男が倒れ込んだ。



口の端から血を流しながらも、私を睨みつけるそいつ。


その目が何となくムカついたから、腹部に1発蹴りを入れてあげる。


案の定、背中を丸めて咳き込んだ。




「かはっ...お、お前...何モンだ...!?」


「...さぁね」


「ふ、ふざけんなっ...!!」


「てかさぁ、お前が悪いんだよ?
その汚れた手で触ってくるからこうなんの」


「な...何言って...」


「うるさい。もう喋んな」




イライラを発散するようにまた蹴りを入れると、男は気を失ってしまった。



...あーあ。


つまんないな。


弱すぎだし。



ハイカットの赤いシューズを男の腹からどかす。


汚いジーパンのポケットから財布を取り出し、中身を確認。



...7万。



わりと持ってるんだ。


...誰からカツアゲしたんだろうね?



私は諭吉7人を攫うと、空になった財布を男の上に落とした。




私が蹴飛ばしていたそいつは、数ヶ月前まで〝仲間〟だった奴。



繁華街をうろついていた私を無理やりこの路地裏に引っ張りこみ、キレた私にやられた。



世界でナンバーワンの【桜蘭】も、下っ端はここまで落ちぶれていたなんてね。



本当、腐ったチーム。