──ピピピピッ、ピピピピッ...



鳴り止まない電子音に安眠を妨害され、目を開けた。


耳に入るのは、鳥の鳴き声。

カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいる。


...いつもと変わらない朝。



まだピピピピッと鳴っていた目覚まし時計を止め、起き上がる。


リビングに行くと、蓮央がソファーに座ってテレビを見ていた。


これも、いつもと変わらない。




「おはよう、蓮央」


「...はよ。飯、食う?」


「うん」




蓮央が立ち上がり、私が座る。


彼が見ていたテレビ番組は、朝のニュースだった。


...暴走族の総長も、ニュースなんか見るんだ。


そんなイメージは全然ないけれど、蓮央のお父さんは財務大臣だし、本人も政治には一応興味があるのかもしれない。




「...咲誇、ちょっと話があるんだけどさ」




朝食を持ってきてくれた蓮央が、言いにくそうに口を開いた。


その顔で、交流遠足のときの彼を思い出す。



『...元カノと、来た』



彼はそう言った。

すごく悲しい顔をしながら。


まぁ...私は蓮央の今カノでもなければ元カノでもないし、関係ないといえば関係ないのだけれど。


それでもなぜか胸に引っかかるところがあって。


少し...ほんの少し、複雑に思ってしまった。


話って、その事なのかな...。