「じゃあ美紗、よろしくね」


「はあい」



6月に入り、そろそろ梅雨に差し掛かろうという日曜の午後。


お母さんから用事を頼まれて、あたしはあるところへ向かった。


それは……お兄ちゃんが入院していた病院。


ずっとお世話になった看護師さんが、6月に結婚することを以前から聞かされていたので、結婚祝いを届けに行くんだ。


お母さんから預かった手提げ袋を持ち、バスに乗る。


懐かしいなぁ……。


何回こうやって病院へ通っただろう。


もう見慣れた車窓から流れる景色をぼんやりと目に映しながらバスに揺られること15分。


病院前のバス停で降りると、目の前にはそびえたつ大きな建物。


12階建ての、県内でも有数の大学病院。