「ねーねー、見てた?」



ある日、授業が終わるや否や伊織ちゃんが振り返ってそう聞いてきた。


ギクッ。



「う、うん」


「やっぱり!よかったね!」



戸惑いながらあたしが頷くと、伊織ちゃんはニコッと笑った。


今の時間、窓の外に見えるグラウンドで、蒼くんのクラスが体育の授業をしていたんだ。


グラウンドにいる蒼くんを眺められるのが、この席のいいところ。


でも、その時間の授業はまったく身が入らないので困ったことにもなるんだけど。


今日はサッカーをしていた蒼くん。まるでサッカー部員かのように活躍してた。


あまりに上手で見とれちゃった。


運動なら、なんでも得意なんだろうなぁ。