篠原くんが転校してきた2、3日が経った頃、ある噂を玲杏ちゃんから聞かされた。



その日、お昼を食べてから玲杏ちゃんはどこかへと出て行ったので、その間いつものように好きな雑誌を読んで待っていたら、玲杏ちゃんが騒がしそうに戻ってきた。



(わあ、この服かわいい~)



「ねえ、響ービックニュースよ」



《やばいやばい!》



(何がやばいんだろう?)



玲杏ちゃんの心の中は何かといつも騒がしくて楽しそうだ。



「また、ビックニュースなんだ」



「そうビックニュースよ!」



玲杏ちゃんは勢い良く迫るように放ってくる。



(テンション高いな、こういう事になると)



「なんとね、葉月くんってさ」



(葉月くん?)



なんだろうと思いながら、耳を傾ける。



「えっ?」



「ねっ驚きでしょ!」



「う、うん」



どうやら、葉月くんにはとても可愛い彼女がいるらしく、その女の子と篠原くんは親しいみたい。



だけど、葉月くんはあまりいい表情はしていないとか。



(彼女、いるんだ)



別に私は葉月くんの事をそういう風に見てる訳じゃないけど。



だけど、そうは思っていても…。



葉月くんに好きな人がいた事に、私はなぜか少しながらショックを受けていた。



(別に葉月くんに恋愛感情がある訳じゃない。
ただ気になった…だけだもの)



それに、葉月くんとはクラスメイトだけで仲がいい訳でもない。



「………」



なんだろう、このモヤモヤは…。



なんか気持ち悪い、不思議な感じだ。



(変なの…)