衣通姫花、27歳独身。

趣味は特になし。

好きなものはお酒かな?

3年間付き合っていた彼氏と別れたばかり。

というか浮気をされた上に振られた可哀想な女の子。

未だに立ち直れないでいる雑誌の出版社で働くごく普通の会社員。

「って先輩!勝手に私の紹介しないでください!しかも可哀想って!女の子じゃないし!」

「ごめん、ごめん」

「もう!」

今、勝手に私の紹介をしたのは武田美月先輩、32歳もちろん独身。

「ちょっとあんた、もちろん独身って」

「先輩は黙っててください」

「は、はい」

ゴホンッ

美月先輩は私と同じ部所で働いている。

先輩は身長も高くてスタイル抜群。

顔も綺麗でまるでモデルさんのようだ。

「あんたそんなに褒めなくても......」

でも性格は男勝りでせっかち。

そのせいか5年間彼氏なし。

もったいないキャリアウーマンだ。

「ちょっと、あんた私のこと馬鹿にしてるでしょ!」

「先輩が悪いんじゃないですか!」

私たちはよくこんな風にくだらない言い合いをする。

そしていつも

「お前らちゃんと仕事しろっ!」

こうやって課長に怒られる。

「すみません!」

「す、すみません!」

言い合いに気を取られて、また課長に怒られてしまった。

「あんたのせいで怒られちゃったでしょ」

「先輩のせいじゃないですか」

「お前たち早く仕事に戻れっ!」

「は、はい!」

課長に怒鳴られ、私たちは静かに自分のデスクに戻った。

「はぁ......」

先輩っていつも大人気ないんだから。

まぁ、でも何かといつも助けてもらっている。

ご飯も奢ってくれるし、相談にものってくれる、とても優しい先輩なのだ。

それに先輩は美人で仕事もできるから、男性社員からの人気も高い。

先輩に憧れる女性社員もたくさんいる。

私の目標は美月先輩を超えること。

あと、先に結婚すること。

だからそのために今日も仕事頑張らなきゃ。