ゲートをくぐり、今度は佐藤さんに連絡を入れた。
すぐに電話に出てくれた佐藤さんは、いくつかアトラクションに乗った後で、これから早めの昼も兼ねて休憩だと教えてくれた。

教えられた場所へ行き、見えない位置から様子を伺う。

凛は水色のワンピースに身を包み、楽しそうに皆と笑っていた。

その表情に思わず頬が緩む。
さっきまでの元木さんとのやり取りなんてすっかり頭から抜け落ちた。

「わたし、お手洗い行ってくるね」

凛が一人、席を立った。
これはチャンスだ。

トイレから出てきた凛の腕を引いて、皆から見えない建物の影に隠れた。

突然のことで何が起こっているのか分からない凛が、驚いて泣き出しそうな顔をした。

「凛、俺だよ……」

「……!」