「へえ、それは幸運だったわね!」


昨日の一連の流れを唯一の友だちである紗由(さゆ)に言えば、幸運という言葉で片付けられてしまった。


「そんなにあっさり言ってしまわないでよ…」


私は溜息を吐く。


「幸運でしかないわよ、そんなの!」


紗由は私の言葉なんて聞かずにうっとりとした表情を浮かべている。

いつもはしっかり者の彼女だけど、夢見がちな一面があったことを思い出した。


「鬼村先生に怒られそうだった麗を、あのクールな椎先輩が助けてくれて、一緒に作業をしたんでしょう?そんなの幸運以外の何物でもないわ!」


その手の話題が大好きな紗由はキラキラと目を輝かせている。


「紗由、あんまり大きな声出さないで。椎先輩と関わったなんて他の人にばれたら…」


「そうね、間違いなく血祭ね」


「ですよねー…」


紗由は真剣な顔で頷いている。

私は明日の太陽を拝めるだろうか。不安だ。


「それで?先輩とそのあとどうなったの?連絡先交換した?」


「そんなわけないよ」と私はつっこんだ。


「ただ、今日も活動を手伝うってことになった」