「…困ったなあ…」


溜め息を吐いた、職員室前。


登校中、学校の玄関横に置いてあったらしい植木鉢とぶつかってしまった私は、そのまま職員室にいる生徒指導の鬼村先生に呼び出されてしまった。


この後こっぴどく怒られるだろうことは火を見るよりも明らかだ。


遅刻しそうだと急いだというのに、このままでは私は遅刻をした上に鬼村先生に怒られてしまう。


遅刻しそうになった自分が悪いとは思うけれど、それでもなかなか職員室に入れないのは、鬼村先生が恐ろしいからだった。

泣く子も黙る鬼村といえば、その名の通り、鬼の如く生徒の心に恐怖を植え付ける、学校一恐ろしい先生なんだ。

はあ、と一つため息を吐いて職員室の扉を開けると鬼村先生がそこに立っていた。



「来たな、清水麗(しみず れい)」



待っていたぞと言わんばかりのその仁王立ちに、私は縮こまってうつむいた。