然し、優喜を抱いていた悠の手がズルッと床に落ちたと同時に悠の体は傾いた。













「ゆ、ゆう…?」













優喜は混乱していてまともな判断ができる状態ではないようだ。













「退いてくださいストレッチャーに乗せます!!2班はその男を乗せて!!!!」














丁度、私が電話して父さんが派遣したと思われる医師達が念のためなのかストレッチャーを2つ持ってきた。













「優喜!!!!行かなくていいの!?しっかりしてよっ!!悠が目を覚ましたときに優喜がこんなんじゃ悠が悲しむよ?」













優喜side




麗がかけてくれた言葉にハッとした俺はストレッチャーと共に、走って救急車に乗った。











その後は慌ただしく時が過ぎて行った。













悠は出血多量で一時は命も危なかったそうだが、何とか持ち直した。













今は24時間管理される特別集中治療室に入院している。












この時、沙羅の父親さんが特別集中治療室に入室を許可してくれたお陰でずっと悠の手を握れていた。














悠の手を握っている。握っていることしかできなかった。













麗が心配そうにしているのが目の端にちらつく。














「優喜?もう三日も寝ずに付き添ってるでしょ。一回倉庫にかえって寝よう?」












そんなこと出来るわけない。














悠がこんなに頑張っているのに…。













「俺はもうこんな、無力感味わいたくねぇ…。俺は医者になる。」















そうだね。と、麗は俺の肩に手をおいた。
















沙羅は愛哀乱舞の統率と蘭が心配なので倉庫に戻った。