店に入ると、騒がしい話し声が耳についた。

誰が話しているのかはすぐに分かった。



近くの、優羽が通っているのとは別の高校の制服を着た女子高生二人。

一人は髪を茶色く染めて、よく目立つ赤い口紅をした派手な子。

もう一人は、髪を染めてこそいないが、ふわりと髪を巻いて、大きな目が特徴的な可愛らしい子。



そして、その二人はあろうことか、玲也を捕まえて、楽しそうに話していた。

一瞬玲也がこちらを向き、目が合ったが、思わずそらしてしまう。


周りを見ると、他の客や店員がそちらを気にするようにチラチラと視線をやっていた。

優羽はそんな店員の一人に席に案内された。



聞こえてくる会話からすると、どうやら玲也をデートに誘ったり、連絡先を聞き出そうとしているらしかった。

彼女たちが玲也に好意を持っているというのはすぐに分かった。



(嫌だな…)



周りへの迷惑を顧みない二人が。

そして、玲也がそんな可愛い子にも好意を持たれている、という事実がとてつもなく嫌だ。