──カランカラン


店に入ると、優羽はまず最初に彼の姿を探す。



(いた!)



接客中の玲也の姿を見つけると、何となくホッとした。



(やっぱり木曜日はいつもシフトが入ってるんだな)



優羽はいつか言った通り、いろいろなスイーツを食べようと週1、2回のペースで通いだしたのだが、いつの間にか玲也を見ることが目的に変わりつつあった。



神田玲也という人は、容姿は爽やかな感じのいわゆるイケメンで、話し方も気さく。

初めて会ったとき感じた通り、誰にでも分け隔てなく優しい人のようで、多くの客から好かれている。


それが優羽の彼に対する印象だった。



優羽は窓際の席を確保し、メニューを見る。



(そろそろお小遣いヤバいし、今日は紅茶とスコーンだけかな)



今日は残念ながら注文を取りに来た店員も、会計の時の店員も玲也ではなかった。



(私、なんだかガッカリしてる?)



──そして、最近は初めて感じる感情の正体が分からずモヤモヤするようになった。