【Cafe: snowdrop 】へ再び行く機会は案外すぐやって来た。



ヨーロッパへ発つ母を見送ってから三日後のことだった。

冷蔵庫を開けた優羽はあることに気がつく。



(あれ…あんずジャムがない)



他のジャムはあるのに、あんずジャムだけがビンごとなくなっているのだ。

優羽はリビングでなにやら一生懸命に課題か何かをやっている姉に尋ねる。



「美羽ちゃん、冷蔵庫にあったあんずジャム知らない?」


「ああ、あれか…」



優羽の方をチラリと見た。



「食べた」


「え?嘘、全部?」


「思った以上に美味しくてな」


「私まだ食べてなかったのに…」





やはり姉妹で味覚が似ているのだろうか。


優羽はハア、とため息をつく。

そんな妹の様子に、美羽は申し訳なさそうに提案した。



「ごめん。店がどこにあるか教えてくれたら今から買ってくる」


「え!?いいよ!美羽ちゃんなんか大変そうだし」