「っ、えっ…?」


突然の提案に、私はつい声をあげた。

青年は、真剣な表情で言葉を続ける。


「本当に、一度借りるだけだ。あんたが問いを聞いた後、少し貸してもらえればいい。…俺には、“どうしても笛に聞きたいこと”があるんだ。」


(…“どうしても笛に聞きたいこと”…?)


そういえば、この青年も笛を求めてオークションに来ていた。

私のように笛にしか頼れない問いを持っている人なのだろう。


「そうなんだ…?…分かった、ちょっとだけなら…」


彼の必死な瞳に押され、頷こうとした

その時。

私は、はっ!とあることに気づいて声をあげる。


「ごっ、ごめんなさい…!ここでは私は笛に質問出来ない…っ!」


「な…っ?!」


私は、エメラルドの瞳を細める彼に言葉を続ける。


「私の質問の内容は貴方に聞かせられない!
1人になれるところじゃないと…!」


「どんな質問だよ、それ……!」