魁斗side


毎年行っているお墓まいりに行ってきた。

こんなに熱いのに、俺の妹の美優は、顔を真っ赤にさせながらも、布団の中で丸まっている。

妹は、生まれた時から体が弱かった。

俺は弟や妹を連れ回して外で遊ぶ同級生のように、美優を連れまわすことは許されなかった。

でも俺は、小さい頃から美優の優しい笑顔が好きだった。美優を喜ばせたくて、学校が終わると、ランドセルを放り出し、ベッドに横たわる美優の隣へ行って、人形を持って話しかけたり、絵を描いて見せたりしていた。


母にたしなめられても、美優のそばを離れず、「魁斗はシスコンね」ってよく笑われた。

父さんが死んだ時、俺は心に決めたことがある。男として、母さんと美優を守ること。
美優には、いつか別の人が現れるかもしれはいが、それまでは俺が守ってやりたい。
ずっとそう思っているんだ。