約束していた通り、お昼を取ってしばらくすると会社を出ることになった。


祝日が被る今週末、一件イベントがある。
全国にチェーン展開している家具『篠塚家具』うちの大取引先の1つである。
そこの千葉方面のショッピングセンターの店舗が主催で、特別催事場でうちの家具・雑貨フェアを行うことになっているのだ。
アウトレット店からも、スタッフが派遣される。

今日は最終調整で、そこに行くことになっている。
明日の搬入にも私達が立ち会う。


「まーなーちゃん!行きましょう!」
そう言って肩を叩くのは原田さんだ。
いつの間にか来ていた。

「ええ、瀬崎さんは大丈夫ですか?」

章は立ちあがりながら
「大丈夫ですよ、行きましょう」

そうして既に準備をしていた橋本と一緒に、4人で会社を後にする。


エレベーターに乗りながら、原田さんが章に挨拶する。
「瀬崎さん、初めまして原田です。アウトレット店スタッフです」と言って頭を下げる。

原田さんはアウトレット店の副店長の位置にいる。
私より入社は1年早いが、子育てが一段落しての仕事の復帰組。年齢は確か私より15歳ほど上だ。
雰囲気はおっとりとしているが、頼れる『母』みたいな感じで私は彼女を慕っている。
毎年と言っていいぐらい、このイベントは原田さんが派遣されている。