【間宮旬】


また投票が始まる。


その前に水飲み場で、口の中を濯いだ。まともに玉をぶつけられ、口の中を切ったからだ。


「間宮くん、これ」


相原がハンカチを差し出してくれたが、受け取らなかった。


俺のミスだ。


俺さえ倒れなかったら、勝っていた。


制限時間間際に玉が0になり、全員を焦らせた。笠井が木崎を狙ったのも、俺が原因と言ってもいい。


だから__。


「みんな、俺に投票してくれ。俺が全部悪い」


教室に入ると、投票前に頭を下げた。


「そんな、間宮くんのせいじゃないわ‼︎玉入れなのに、相手を狙うほうが卑怯なのよ‼︎」


相原はきっぱりと断罪した後、アッと口を押さえた。


狙ったのは向こうチームだけじゃないからだ。張本人の笠井周平は俯いて押し黙っている。その顔は真っ青だが。


「みんな、もう一度、協力してほしい。無記名投票をやろう。俺はみんなを、そして涼子を信じてる。向こうで1人、自分に投票した。カゴを担いで耐え抜いた。それは、俺たちが潰し合うのを止めるため。自分の身を持って訴える涼子の気持ちに応えたい。だから頼む」


今度は直人が頭を下げる。


「みんなのことを、俺は信じる」


「投票を開始します」