結局、博正に声をかけることもできないまま昼休みは無情にも終わってしまった。


「スッピンの雅だって可愛いから、頑張ってみたらいいのに」


隣の席から楠葉がそう声をかけてきたけれど、とてもそんな気分にはなれなかった。


放課後になると、博正はサッカー部のユニフォームを手に、すぐに教室を出て行ってしまった。


その後ろ姿を見て、今日は誘っても無理だったのだと自分自身に言い聞かせた。


博正は恋愛する気はないと言っていた。


それなら、他の子たちに取られる心配だってないはずだ。


そう考えると少しだけ安心できた。