それからあたしは小春ちゃんからの着信を拒否した。


これで連絡は取れない。


もしかしたら小春ちゃんが他の人に助けを求めるかもしれないけれど、その心配はなさそうだった。


だって、屋敷から追い出された時も何も言わなかったから。


案外、心としての生活を手放すのが嫌だったのかもしれない。


あたしは鼻歌交じりでデートの準備をしていた。


毎週土曜日は武人君とのデートの日らしい。


小春ちゃんの部屋にあるカレンダーを見てわかったことだった。


「お嬢様、お迎えが来ました」


丁度準備が終ったところで、ユキエさんがそう声をかけてくれた。


すぐに外へ出て行くと、そこには武人君の家のリムジンが到着していた。