心に戻って登校した教室は、なんだかいつもよりもくすんだ色に見えた。


武人君とのきらびやかなデートを思い出し、胸の奥が寂しくなる。


「心おはよー!」


いつも通り声をかけてくれる友人たちも、今はちっぽけな存在にしか見えなかった。


「おはよう」


適当に挨拶をして自分の席に座る。


なんだか座り心地が悪いと思ったら、木製の固い椅子であることに気が付いた。


学校の椅子はずっと同じなのに、こんな風に感じたのは初めてのことで驚いた。


あたしにふさわしい椅子じゃない。


そんな風に思ってしまった。


「心、昨日は楽しかったなー」


涼太がそう言ってあたしの肩を叩いて来た。


その手はゴツゴツとしていて、少し痛い。