それからあたしは涼太と一緒に遊んでいても心は上の空だった。


涼太が小春ちゃんとキスをした。


その事実が頭の中から離れず、楽しむことができない。


帰り際になって涼太が手を繋いできたけれど、それも拒否してしまった。


涼太に申し訳ないと思う反面、あたしと小春ちゃんとの違いに気が付かなかったこと腹立たしく感じられた。


自室に戻って来るとすぐにスマホを開き、小春ちゃんに電話をした。


N女ももう学校は終わっているから、2コールほどで電話に出てくれた。


『心ちゃん、どうしたの?』


明るい小春ちゃんの声にイラッとしてしまう。


苛立ちをどうにか胸の奥へと押し込めた。


「小春ちゃん、昨日涼太とキスしたでしょ」


単刀直入にそう訊ねると、電話口で息を飲む音が聞こえて来た。