勇との約束場所にはわざと5分ほど遅れて行った。


走って来たというように装い息を切らす。


「あ、あの……」


いつもより静かな声で勇に声をかけた。


見知らぬ女性に突然声をかけられた勇は驚いている。


「源……勇さんですか?」


そう聞くと勇は小さく頷いた。


「あの、どちら様ですか?」


勇は困惑しながらも頬を赤く染めている。


きっとこの顔を気に入ってくれたのだろう。