まさか彩羽が山田君に告白されるなんて思っていなかった。


その話を聞いた後は、あたしの視線は自然と山田君へと向かった。


静かに本を読んでいる。


メガネの奥の目はとても真剣に文字を追いかけている。


時々女子生徒に話しかけられて、本の内容を説明しているときもある。


案外、山田君のファンは多いのかもしれない。


あたしは勇のことばかり見ていたから、全然気がつかなかった。


もし、ユナやナナの姿で山田君の前に現れたらどうなるだろう。


ふと、そんな事を考えた。


もっと沢山のフェイスを購入して、沢山の美少女に成りすますことができたら、どれだけの男を振り向かせることができるだろうか。


「葉月、なにボーっとしてるの?」