暗い家に帰る。

外から見ても真凛の部屋の電気はいつも通りついていなかった。


「真凛、話があるから出てきて」


いつもより乱暴に扉を叩く。

今日はなんとしても話したい。



「裕貴と付き合ってたんだね。百瀬楓ちゃんから話聞いたよ」


再び扉を叩く。


「晴人さんがいながら、裕貴?真凛はそういう女の子じゃないと思ってたーー真凛がこのままなにも否定しないのなら、真実と受け取るよ。裕貴との、その…キス写真も見たから。証拠もちゃんとあるよ。写真見た時、正義も居合わせて、彼も知ってるよ……いずれ、晴人さんの耳にも入るんじゃないかな。真凛のために協力してくれている晴人さんを裏切っていることが、信じられない」

自分でも訳が分からなくなるくらい
一気にまくしたて、息が上がる。


「私、今日、ずっと此処にいるから。話したくなったら話して」

私が口を閉ざすと家中が静かになる。
この暗く閉ざされた空間から真凛を助けたくて、身代わりとして学校に行くことにしたのに。


「もしも今夜、真凛と話ができないのなら、明日から学校には行けない。このまま正義と晴人さんを裏切ることはできないよ。できることなら一緒に2人に謝ろう」


聞こえているのか聞こえてないのか、真凛は物音ひとつさせずにいる。


寝てしまっているのか。