先生は、膨らみから唇を離して私の瞳を覗き込むように見つめた。
顔が近づき、恥ずかしくて後ろへ下がる。

が、逃げ場はなく、ちゅっとキスをされた。

「嫌だよ」
「えっ!」
「まだ卒業もしてねえのに。生徒に手出すのは嫌だよ。俺、教師だし」

先生は、私の肩にかかっているブランケットをぎゅぎゅっと中央に寄せ、胸が見えないようにしてから、テーブルの上のライターに手を伸ばした。

「……え。終わっちゃうんですか〜!」
「何だよ。してほしいのかよ」
「だって、勇気振り絞ったのに……」
「うん。すげーなと思ったよ。こんな奴はじめて」

シュボッとライターに火がつき、暗い部屋がオレンジ色になる。

「わあ……明るい」

先生の笑った顔も見えて、きっと先生からは、私のまぬけな顔も見えている。

「先生が見えた」

そう言って笑うと、パッと部屋の電気がついた。