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わたしはずっと、消えてしまいたかった。


───ううん、正確に言うなら
消えてしまってもいい、と思っている。今でも。


もともと引っ込み思案だった私だけど、それが輪をかけて酷くなったのは、ちょうど3年前のこと。





『……あの、多数決』




とってもいいですか、は声にならなかった。



中学一年生のとき、私はしっかりしてそうだから、なんて適当な理由でクラス委員長を任されていた。


みんなに推薦されたのに、たぶんみんなから はずれだと思われていたと思う。




この記憶は、秋の終わりごろ毎年冬に校内で行われる合唱コンクールの自由曲を決めていたときのもの。




候補を二曲にしぼるところまではスムーズに進んだのに、最後の二曲でクラスの意見が真っ二つにわかれてしまって。




……どうしたものか、と途方に暮れていた。





担任の先生からは『みんなの意見をまとめてくれ』と頼まれていたけれど、まとまりそうもなくて。



それでも、前に立っている私が黙っていては 話が進まないと思って、もう一度口を開いた。