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「今日の放課後、図書委員は会議があるらしい。場所は図書室な。よろしく頼むぞ、桜庭(さくらば)


「……はい」




朝のHRが終わったあと、担任の先生から委員会の連絡が回ってきた。

思わずため息をつきそうになったけれど堪えて頷く。



……もともと図書委員になんて、なるつもりもなかったのに。



私たちの学校では、各クラスひとりずつ図書委員を選出しなければならない。



先週、その図書委員を決めるHRがあったのだけど、クラス内に立候補はひとりもいなかった。




誰もやりたがらない理由は明らかだ。



図書委員は、行事ごとの活動に付け加えて週に2、3回程度の貸出カウンターの当番がある。


その当番によって、昼休みや放課後の時間が奪われるのだ。



そんなわけで、みんな図書委員になるのは避けたがるの。

もちろんそれは私だって例外じゃなかった。




『図書委員は桜庭さんでいいと思いまーす』

『賛成ー!』

『桜庭さんなら、やってくれるよね!』




クラスの皆の視線が私に集中して、私はそこで首を横には振れなかった。

たった、それだけのこと。




別に図書委員になることが、どうしても嫌だったわけじゃない。
ただ、できるならばなりたくなかっただけ。