メレンダは紅茶も好きかな?
棚にある箱を選ぶ。来てからいれるし、後でいいか。手に取った箱を戻した。


携帯をコートのポケットに入れ、家を出る。
意外と足が寒い。服の隙間に寒い空気が留まっているようだ。


警報が鳴り電車が走り去っていく。メレンダが駅から出てきた。


「おまたせ!」


メレンダは紙袋を揺らして駆け寄った。


「来たばかりだよ。そうだ、家についたら紅茶飲む?」


「うん。持ってきたお菓子も紅茶と合うの」


中身は甘い洋菓子か。
暖かい部屋とお菓子を楽しみにしながら歩く。


「お邪魔します」


メレンダはブーツを脱いだ後揃え、コートをかける場所を聞いてきた。
今、リビングのハンガーラックに、僕のコートと並んでかけられている。


「どれがいい?」


「ピーチが好きだけど、今日はキャラメルにするの」


僕も同じものを選び、コップに浸す。皿で蓋をし、三分待つ。


皿を外すと、いい香りの湯気が出てきた。
砂糖を入れて混ぜる。メレンダは猫舌らしく、砂糖を入れた後も机から離さない。


「今日持ってきたのはバウムクーヘン。えっと……あっ、こうやって開けるの」


箱から現れたのは小さめのバウムクーヘンだ。
僕はフォークで二つに切った。


しっとりしていておいしい。確かに紅茶に合う。
メレンダも紅茶を飲み始める。


「この紅茶おいしい……」


楽しんでくれているようでよかった。
学年末テストも、悪い自分も忘れ、純粋にこの時間を楽しむ。
これだけでよかったかもしれない。