「桃花…そろそろ起きなさい、早く起きないと新学期早々遅刻するよ～」

部屋のドアをノックする音と共に私を起こそうとするお母さんの声が聞こえた。

私は眠い目を擦りながらゆっくりと上半身を起こした。

両腕を天井に向け伸びをした後、今度はそのまま下半身をベットから降ろした。

真新しい制服に着替えた私は、お父さんとお母さんのいるリビングに向かった。

リビングのドアを開けるとお母さんがテーブルに作ったばかりのサラダや目玉焼きといった朝食が並んでいた。

「お父さん、お母さんおはよう」

私が声をかけるとテーブルで新聞を読んでいたお父さんが

「おはよう、何だか眠そうな顔してるな～」

と、優しげな笑みを浮かべながらお父さんは新聞を閉じ私が椅子に座ったのを確認してから

「いただきます！」

そう言ってそれぞれ朝食を食べ始めた。

私が目の前にある目玉焼きを食べようとすると、横に座っていたお母さんが

「今日から新しい高校に通う事になるけど…桃花大丈夫？」

と、心配そうに声をかけてきた。

「…うん、多分大丈夫だと思うけど…」

私がやや小さめな声でお母さんに言葉を返すと、今度は私の向かい側に座っていたお父さんが

「まぁ桃花のことだ…大丈夫、新しい高校でもすぐ友達が出来るから！」

そう言って先に食べ終わったお父さんは、食器をキッチンに持っていき鞄を持って

「じゃあそろそろ仕事に行ってくる」

と言って、家を出た。

しばらくしてから私とお母さんも朝食を食べ終わり、食器を片付けた後

「私もそろそろ学校行くね」

と言った私は

「行ってらっしゃい、気をつけてね！」

お母さんは優しげな言葉をかけ見送ってくれた。

靴に履き替えた私は玄関のドアを開け、重い足どりで高校へと向かって行った。