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「ちょうどお昼だし、あそこのお店に入らない?」

「うん、いいよ」


柚希くんが電話で和希くんを呼んだらしい。

それで今こっちに向かってるんだって。

この格好を見られるのか……
恥ずかしいよ。

陽菜と柚希くんには「自信もって」なんて言われたけど、自信もなにも、街を歩くだけでみんなが見てくる……

注目されたくないのに。


「あ、かずくん! こっち!」

「え!? 翔也!?」


翔也も来るなんて聞いてない!


「柚希くん、聞いてないんだけど! なんで翔也もいるの!?」

「電話した時にかずくんと一緒にいたんだって。ボクね、優しいから、特別に来てもいいよって言ったの」


どうして和希くんと一緒にいたの?
2人も遊ぶ約束していたとか?


「その服、似合ってるじゃん」


そう言ってニヤッと笑う和希くん。

それ、本当に思ってる?


「幼馴染くんもそう思うよね?」

「すごく、可愛いと思う…」


照れながら言う翔也に私まで照れてしまう。

いつもはそんなこと言わないくせに!
恥ずかしいじゃん!


「ありがと」

「買い物、楽しかった?」

「うん」

「そっか」


なにこの空気! 陽菜もなんか言ってよ!
和希くんはずっとニヤニヤしてるし!


「おなかすいたー! なに食べようかなー?」


それをぶち壊したのは柚希くんだった。

柚希くんはメニューを見るふりをして、翔也のことを睨んでいた。