「変なこと、考えただろ?」


その言葉に固まってしまった私。するとそれを見ていた一ノ瀬さんは真横でぶっと噴き出した。


「冗談。酔ってる女襲うほどすさんじゃいねぇよ」


よ、良かった。


「つーかお前、何回騙されるんだよ。詐欺師のいい獲物だな」

「や、やめて下さいよ?」

「高い壺でも売りつけてやるか」


一ノ瀬さんの巧みな話術で売りつけられたら本当に買ってしまうそうだからシャレにならない。


「っ、たく本当にお前は単純だよな」

「単純って言わないで下さい!」


はあとため息をつきながら言った言葉になんとなく温かみがあったように感じて、私は初めて一ノ瀬さんの素部分も悪くないなと思った。


「ま、お前はもっと色気つけて来なきゃ無理だな」


……訂正。
やっぱり悪魔は悪魔だ。