あ、シャンパン切れてる。


グラスに新しいの入れてくっか。


「シャンパン入れてくるから、大人しく待っててよ。」

「はぁ~い」


ずっとホストで働いてる俺だけど。


いつ来ても慣れない店内に香るキツイ香水。


色んな女の相手をしてると、俺の鼻も可笑しくなりそうだ。


「あれ…」


ドア近くの片隅の席に座った独りの女が、俺の目に映った。


ただ、じっとグラスを見つめるだけで。


相手の指名もしてないのか?


ふーん。


これは、ファン増やすチャンスかも。


すかさず俺は目の前に座った。


「君は独りで平気?俺が相手してあげよっか。」


いつもの笑顔で誘う。