昔の俺は偽りの台詞を淡々と、ばら撒いて適当に生きてきた。


それが俺にあったスタイルで、そうするしか出来なかった。


大抵の女は喜ぶし俺も稼げて、一石二鳥だと利口に毎日を過ごしてたつもりだ。


でも今は偽りの言葉なんかじゃない…ってこと。


こんなに一つ一つの言葉が温かくて大切なことなんて、昔の俺じゃ想像もつかないだろうな。


「俺辞める、今日で。」

「え、ちょ…冗談だろー?」


レジで指名一覧のメモを確認している大ちゃんに、辞めることを告げると一瞬驚いた顔をする。


でもまたすぐにおどけた笑顔になると、再び指名が書かれた紙に視線を移し、俺の言葉を信じていないようだった。