城を別れて家に戻った俺は真っ直ぐ自分の部屋へと向かった。


外が子供たちの声で騒がしくなる中、ペンとノートを取り出して昨日見た女の子の絵を描き始める。


自分に絵心がない事は分かっているが、なにかしていないと落ち着かないのだ。


目の前で冨部先輩が殺された。


その事実を警察に理解してほしい。


そしてちゃんと捜査をしてほしい。


ただそれだけだった。


下手なイラストを描いては消して、書いては消してを繰り返す。


紙はシワシワになり、昼を過ぎたころようやくそれとなく似た雰囲気の女の子を書く事ができた。


といってもやっぱり下手なものは下手なので、パッと見てもこれじゃわからないだろう。


「あ~も~くそっ」


上手くいかなくて舌打ちをする。


イラストを描いた紙を持ち、リビングへと向かった。