その声が聞こえても、俺は歩調を緩めなかった。


立ち止まったら終わりだ。


全身に汗が流れ、心臓はギュッと掴まれているように痛む。


それでも止まることはできなかった。


視界が開け、入ってきた道が見えた。


あの舗装された道を行けばもうすぐ《椿ホーム》が見える。


その時だった。


「危ない!」


古家先輩の叫び声が聞こえて来た。


俺は立ち止まらず首だけで先輩の方を見た。


すると……そこに、女の子がいた。


赤いスカートに白いブラウスを真っ赤な血に染めた女の子が、城の近くでニタリと笑う。


女の子は手にチャンソーを持っていて、それは城へと向けられている。