「どうしてもっとうまく誤魔化せてやれなかったんだろう」


城と2人で暗い夜道を歩きながら俺は頭をかいた。


「仕方ないさ、俺たちは実際にあの声を聞いている。そしてその直後に冨部先輩が殺されるのだって見てるんだ」


城が俺の背中を叩いた。


「そうだけど……」


好きな子にあんな悲しい顔をされたことで、胸が押しつぶされそうな感覚だ。


「今はとにかく、風花と綾菜ちゃんを守ることが最優先だろ」


城がそう言い俺は顔を上げた。


そうだ。


あの2人にあの声が聞こえて来た理由はわからないが、危険が迫ってきている可能性は高い。


「花火、さっさと買って戻ろう」


俺はそう言うと、早足に歩き出したのだった。