タクシーで家の近くまで戻ってきた俺たちは別々に歩き始めた。


歩きながらおばあちゃんの様子を思い出す。


あんなに取り乱して暴れているおばあちゃんを見たのはやはり初めてで、俺自身がすごく動揺していた。


でも、こうしてゆっくりと思い返してみると少し不思議な事が思い当った。


おばあちゃんは城を見た瞬間目を見開き、指を指した。


あれは城を見て驚いているように見える。


人を見て驚くと言う事は、かなり異質な格好をしていたとか、何か不思議なものを持っていたとか、いろいろと理由は考えられる。


だけど、今日の城は制服姿だったんだ。


異質なものなんて何もなかった。


それなのにおばあちゃんはあれほど驚いた。


頭の中でゆっくりと整理していく。


人が人を見て驚くとき。


それはなぜその人がそこにいるのかと感じた時にもあるだろう。


もし、おばあちゃんが城が施設に来たことで驚いたのなら、おばあちゃんは元々城を知っていた。


と言う事になる。