だって、だって綾人に頼まれるなんて……。



嬉しいがでも、本当に心当たりが無いからな。



「お願いします」



「お願…い」



「頼みます」



光、真、嵐に続けて言われ、横からもキラキラとした眼差しを向けられ、

反抗する意志がどんどん弱くなっていく。



………だが、な…。



「悪いが、そういうのは桃香達に頼め。私より適任だ」



私は顔すら見せず、下っ端ともあまり親しくなかっただろう。

故にか、私を呼び捨てにしていたのは幹部と静夜、綾人と僅かな人数だけ。



そんな先代にいきなり来られて鍛えるなど言われても、ウザいだけだろう。



比べ、桃香達は通う学校も一緒で親しくしていたからな。

私よりも桃香達の方が適任なのは一目瞭然だ。



「彩華、お願いします」



「……家はなるべく空けたくないんだよ」



あぁ、何て理不尽な理由だろう。

呆れられても仕方ないな、私は。



だがそれでも、仲間だった奴にはただの先代で居たいんだよ。

鍛えるなんて言って、図々しいと思われるよりも。



「だったらお姉ちゃん、数人ずつ呼べば良いんじゃない?」



ーー?

数人ずつ呼べば良いって……。



「確かに道場も綺麗にしてあるが、わざわざ来させなくても倉庫で桃香達揃えれば………」



ん?

今考えると、何か真面目に鍛えてる姿が想像出来ないぞ。