バサッ



ん?

何か今顔に風が……。



珍しく朝でもないのに起きたな……ん?



「静…夜?」



重たい瞼を開けると、誰かの顔がドアップであった。



だが、昨日のように大声でびっくりして起こされた訳でないためあまり脳が覚醒していない。



大体覆い被されてる時点で、

というか夜で明かりが無いし起きたばっかで視界が慣れてないためかも知れないが…。



……ん?



静夜じゃ…ない………。



いやでも、寝てたのにしろ他人の足音や気配には気付くはずだ。



知り合い?



黒髪?



視界が慣れてき、手入れをされ、艶のある黒髪だと分かる。



顔…は……っ!?



いやいやいやいやいや、あり得ない状況だ。



掛け布団は剥がされ、顔の左右には手があり、足の間にある足で身動きが取れない。



昨日静夜に全く同じ事をされたが、今回は人物が人物だ。



手入れをされ、艶のある長い黒髪、黒目。

端正な顔立ちであり、美少年。美男子等が必ず当てはまる容姿。



私の……、私の……、初恋であり諦めがついた男。



目の前の顔立ち、雰囲気。

優しい私の好きな香り。



間違いない、綾人だ。



だがこれは、夢か?



現実では起こり得ない状況だ。



………私の欲求不満か?



いやいや、だが感覚がリアル過ぎる。



……だが、現実と認められる状況ではない。



私自身も知り得ぬ欲望か?